13 入院期間が180日を超える入院に関する事項(1) 入院医療の必要性が低いが患者側の事情により長期にわたり入院している者への対応を図る観点から、通算対象入院料(一般病棟入院基本料(特別入院基本料、月平均夜勤時間超過減算及び夜勤時間特別入院基本料を含み、医科点数表の注11に規定する療養病棟入院基本料1の例により算定する場合(歯科点数表第1章第2部第1節通則1の規定により医科点数表の例により算定する場合を含む。)を除く。)、特定機能病院入院基本料(一般病棟の場合に限り、医科点数表の注9に規定する療養病棟入院基本料1の例により算定する場合(歯科点数表第1章第2部第1節通則1の規定により医科点数表の例により算定する場合を含む。)を除く。)及び専門病院入院基本料(医科点数表の注8に規定する療養病棟入院基本料1の例により算定する場合(歯科点数表第1章第2部第1節通則1の規定により医科点数表の例により算定する場合を含む。)を除く。)をいう。以下同じ。)を算定する保険医療機関への180日を超える入院((6)に定める患者の入院を除く。)については、患者の自己の選択に係るものとして、その費用を患者から徴収することができることとしたものである。(2) 入院期間は、以下の方法により計算されるものであり、医科点数表及び歯科点数表(以下「医科点数表等」という。)の例により計算されるものではないことに留意すること。① 保険医療機関を退院した後、同一の疾病又は負傷により、当該保険医療機関又は他の保険医療機関に入院した場合(当該疾病又は負傷が一旦治癒し、又は治癒に近い状態(寛解状態を含む。)になった後に入院した場合を除く。)にあっては、これらの保険医療機関において通算対象入院料を算定していた期間を通算する。② ①の場合以外の場合にあっては、現に入院している保険医療機関において通算対象入院料を算定していた期間を通算する。(3) 退院の日から起算して3月以上(悪性腫瘍、難病の患者に対する医療等に関する法律(平成26年法律第50号)第5条に規定する指定難病(同法第7条第4項に規定する医療受給者証を交付されている患者(同条第1項各号に規定する特定医療費の支給認定に係る基準を満たすものとして診断を受けたものを含む。)に係るものに限る。)又は「特定疾患治療研究事業について」(昭和48年4月17日衛発第242号)に掲げる疾患(当該疾患に罹患しているものとして都道府県知事から受給者証の交付を受けているものに限る。ただし、スモンについては過去に公的な認定を受けたことが確認できる場合等を含む。)に罹患している患者については1月以上。以下同じ。)の期間、同一傷病について、いずれの保険医療機関に入院することなく経過した後に、当該保険医療機関又は他の保険医療機関に入院した場合は、(2)の②に該当するものであり、入院期間の計算方法は、現に入院している保険医療機関において通算対象入院料を算定していた期間を通算するものであること。また、同一の保険医療機関内の介護療養病床等に3月以上の期間入院した場合についても(2)の②に準じて取り扱うものとし、当該介護療養病床等から通算対象入院料を算定する病棟に転棟した場合における入院期間は、当該転棟の日から起算して計算するものであること。(4) 入院期間の確認については、「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」(平成28年3月4日保医発0304第3号)別添1第1章第2部通則3に従うものであること。(5) 保険外併用療養費の支給額は、所定点数から通算対象入院料の基本点数の100分の15に相当する点数を控除した点数をもとに計算されるものであるが、通算対象入院料の基本点数とは、それぞれの区分の注1(特別入院基本料、月平均夜勤時間超過減算及び夜勤時間特別入院基本料の場合は注2)に掲げられている点数であるものである。なお、控除する点数に1点未満の端数があるときは、小数点以下第一位を四捨五入して計算するものとする。また、外泊期間中は、保険外併用療養費は支給しないものとする。なお、外泊期間中であっても、特別の料金を徴収することができることとし、その標準については、(9)に規定するところによるものとする。(6) 当該制度は、入院医療の必要性が低いが患者側の事情により入院しているものへの対応を図るためのものであることから、以下の表の左欄に掲げる状態等にあって、中欄の診療報酬点数に係る療養のいずれかについて、右欄に定める期間等において実施している患者の入院については、選定療養には該当せず、特別の料金を徴収することは認められないものである。なお、左欄に掲げる状態等にある患者が、退院等により右欄に定める実施期間等を満たさない場合においては、当該月の前月において選定療養に該当していない場合に限り、当該月においても同様に取り扱う。他の病院から転院してきた患者についても同様の取扱いとする。状態等診療報酬点数実施の期間等1 難病患者等入院診療加算難病患者等入院診療加算当該加算を算定している期間を算定する患者2 重症者等療養環境特別加重症者等療養環境特別加算当該加算を算定している期間算を算定する患者3 重度の肢体不自由者(脳左欄の状態にある期間卒中の後遺症の患者及び認知症の患者を除く。)、脊髄損傷等の重度障害者(脳卒中の後遺症の患者及び認知症の患者を除く。)、重度の意識障害者、筋ジストロフィー患者及び難病患者等(注1参照)4 悪性新生物に対する腫瘍動脈注射左欄治療により、集中的な入用薬(重篤な副作用を有す抗悪性腫瘍剤局所持続注入院加療を要する期間るものに限る。)を投与し点滴注射ている状態(注2参照) 中心静脈注射骨髄内注射5 悪性新生物に対する放射放射線治療(エックス線表在線治療を実施している状態治療又は血液照射を除く。)6 ドレーン法又は胸腔若しドレーン法(ドレナージ) 当該月において2週以上実施くは腹腔の洗浄を実施して胸腔穿刺していることいる状態(注3参照) 腹腔穿刺7 人工呼吸器を使用してい間歇的陽圧吸入法、体外式陰当該月において1週以上使用る状態圧人工呼吸器治療していること人工呼吸8 人工腎臓、持続緩徐式血人工腎臓、持続緩徐式血液濾各週2日以上実施しているこ液濾過又は血漿交換療法を過と(注4参照)実施している状態血漿交換療法当該月において2日以上実施していること9 全身麻酔その他これに準脊椎麻酔ずる麻酔を用いる手術を実開放点滴式全身麻酔施し、当該疾病に係る治療マスク又は気管内挿管によるを継続している状態閉鎖循環式全身麻酔(当該手術を実施した日から起算して30日までの間に限る。)10 末期の悪性新生物に対す薬剤料(麻薬に限る。)(注左欄の状態にある期間る治療を実施している状態5参照)神経ブロック(注6参照)11 呼吸管理を実施している救命のための気管内挿管状態(注7参照)気管切開術(注8参照)酸素吸入(注9参照)12 頻回に喀痰吸引・排出を喀痰吸引、干渉低周波去痰器当該月において1日あたり8実施している状態(注10参による喀痰排出回(夜間を含め約3時間に1照) 気管支カテーテル薬液注入法回程度)以上実施している日が20日を超えること13 肺炎等に対する治療を実薬剤料(抗生剤に限る。) 左欄の状態にある期間施している状態(注11参照)14 集中的な循環管理が実施薬剤料(強心剤等に限る。)されている先天性心疾患等の患者(注12参照)15 15歳未満の患者左欄の年齢にある期間16 児童福祉法第6条の2第当該支援を受けている期間2項に規定する小児慢性特定疾病医療支援を受けている患者17 児童福祉法第20条の育成当該給付を受けている期間医療の給付を受けている患者注1 3の左欄に掲げる状態等にある患者は具体的には以下のような状態等にあるものをいうものであること。a 重度の肢体不自由者(脳卒中の後遺症の患者及び認知症の患者を除く。)、脊髄損傷等の重度障害者(脳卒中の後遺症の患者及び認知症の患者を除く。)なお、脳卒中の後遺症の患者及び認知症の患者については、当該傷病が主たる傷病である患者のことをいう。b 重度の意識障害者重度の意識障害者とは、次に掲げる者をいう。なお、病因が脳卒中の後遺症であっても、次の状態である場合には、重度の意識障害者となる。ア 意識障害レベルがJCS(Japan Coma Scale)でⅡ-3(又は30)以上又はGCS(Glasgow Coma Scale)で8点以下の状態が2週以上持続している患者イ 無動症の患者(閉じ込め症候群、無動性無言、失外套症候群等)c 以下の疾患に罹患している患者筋ジストロフィー、多発性硬化症、重症筋無力症、スモン、筋萎縮性側索硬化症、脊髄小脳変性症、ハンチントン病、パーキンソン病関連疾患(進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、パーキンソン病(ホーエン・ヤールの重症度分類がステージ3以上でかつ生活機能障害度Ⅱ度又はⅢ度のものに限る。))、多系統萎縮症(線条体黒質変性症、オリーブ橋小脳萎縮症、シャイ・ドレーガー症候群)、プリオン病、亜急性硬化性全脳炎、ライソゾーム病、副腎白質ジストロフィー、脊髄性筋萎縮症、球脊髄性筋萎縮症、慢性炎症性脱髄性多発神経炎及びもやもや病(ウイリス動脈輪閉塞症)d 重度の肢体不自由者については、「「障害老人の日常生活自立度(寝たきり度)判定基準」の活用について」(平成3年11月18日老健第102-2号)においてランクB(以下「ランクB」という。)以上に該当するものが対象となるものであり、ランクB以上に該当する旨を診療報酬明細書に記載すること。2 4の「重篤な副作用を有するもの」とは、肝障害、間質性肺炎、骨髄抑制、心筋障害等の生命予後に影響を与えうる臓器障害を有する腫瘍用薬であること。3 6に係る胸腔穿刺又は腹腔穿刺を算定した場合は、当該胸腔穿刺又は腹腔穿刺に関し洗浄を行った旨を診療報酬明細書に記載すること。4 8の「人工腎臓を実施している状態」にある患者については、ランクB以上に該当するものが対象となるものであり、ランクB以上に該当する旨を診療報酬明細書に記載すること。5 10の中欄に規定する「麻薬」については、使用薬剤を診療報酬明細書に記載すること。6 10の中欄に規定する「神経ブロック」とは、医科点数表第2章第11部第2節区分番号「L100」神経ブロック(局所麻酔剤又はボツリヌス毒素使用)、区分番号「L101」神経ブロック(神経破壊剤又は高周波凝固法使用)又は区分番号「L105」硬膜外ブロックにおける麻酔剤の持続的注入であること。7 11の中欄に規定する「救命のための気管内挿管」を実施している患者については、気管内挿管を実施している旨を診療報酬明細書に記載すること。8 11の中欄に規定する「気管切開術」を実施している患者については、ランクB以上に該当するものが対象となるものであり、ランクB以上に該当する旨及び気管切開術を実施している旨を診療報酬明細書に記載すること。9 11の中欄に規定する「酸素吸入」を実施している患者については、ランクB以上に該当し、かつ、酸素吸入を実施しない場合には経皮的動脈血酸素飽和度が90%以下となるものが対象となるものであり、ランクB以上に該当する旨及び酸素吸入を実施しない場合の経皮的動脈血酸素飽和度の値及び酸素吸入を実施している旨を診療報酬明細書に記載すること。10 12の左欄に規定する「頻回に喀痰吸引・排出を実施している状態」については、ランクB以上に該当するものが対象となるものであり、ランクB以上に該当する旨及び喀痰吸引又は干渉低周波去痰器による喀痰排出の内容(喀痰吸引等の頻度、喀痰吸引に伴う排痰処置等)について、診療報酬明細書に記載すること。また、頻回の喀痰吸引を長期間必要とする理由(気管切開等の呼吸管理を行っておらず、かつ、長期間喀痰吸引を実施している場合は、特にその理由を診療録に記載する。)及びその内容(喀痰吸引等の頻度、喀痰吸引に伴う排痰処置等)を診療録に記載すること。11 13の中欄に規定する抗生剤(病原生物に対する医薬品をいう。)は、主として全身性の感染症に対する治療のために投与される注射薬に限るものとし、使用薬剤並びに当該治療に係る細菌培養同定検査等及び薬剤感受性検査の結果を診療報酬明細書に記載又は添付すること。12 14の「集中的な循環管理が実施されている先天性心疾患等の患者」については、常時モニタリング下に、塩酸ドパミン、塩酸ドブタミン、ミルリノン、アムリノン、塩酸オルプリノン、不整脈用剤又はニトログリセリン(いずれも注射薬に限る。)を投与されている先天性心疾患等の患者が対象となるものであり、循環管理の内容(モニタリングの内容、使用薬剤等)を診療報酬明細書に記載すること。(7) 急性増悪のため、通算対象入院料を算定する病棟又は介護療養病床等から、一般病棟に転棟させた場合(一般病棟に入院中の患者が急性増悪した場合を含む。)は当該転棟の日(一般病棟に入院中の患者については急性増悪の日)から30日間は、特別の料金を徴収することは認められない取扱いとするものであること。ただし、30日間を経過した後は、(6)に規定する基準に従い、当該患者の入院が選定療養となるか否かを判断するものであること。なお、この場合においては、一般病棟に転棟させた理由を診療報酬明細書に詳細に記載すること。(8) 特別の料金を徴収しようとする場合は、患者への十分な情報提供が前提とされるものであり、特別の料金の額等に関する情報を文書により提供しなければならないものとする。(9) 特別の料金については、その徴収の対象となる療養に要するものとして社会的にみて妥当適切な範囲の額とし、通算対象入院料の基本点数の100分の15に相当する点数をもとに計算される額を標準とする。(10) 特別の料金等の内容を定め又は変更しようとする場合は、別紙様式10により地方厚生(支)局長にその都度報告するものとする。また、患者から特別の料金を徴収した保険医療機関については、毎年の定例報告の際に、その実施状況について、別紙様式10により地方厚生(支)局長に報告するものとすること。